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ポジションサイジングとケリーの公式

ある銘柄に資産の何パーセントを投入するかを、勝率と損益比を根拠に計算する方法。

執筆・監修: Margin Call 編集部·公開: 2026-04-01·最終監修: 2026-04-28·読了目安 約4〜5分

ポジションサイジングとは何か

ポジションサイジングとは、どの銘柄を買うかではなく、その銘柄に総資産の何パーセントを配分するかを決定することです。同じ銘柄を同じ価格で買ったとしても、全財産の5%を投入した人と50%を投入した人とでは、最終的な収益率と心理状態が全く異なります。銘柄選択が「何を」であるとすれば、ポジションサイジングは「どれだけ」に相当し、長期的なパフォーマンスは後者に大きく左右されます。

核心は、一度のベットで失う可能性のある金額を事前にコントロールすることにあります。いくら確信度の高いアイデアであっても間違える可能性はあるため、ある銘柄の損失が口座全体を回復不可能なレベルにまで崩壊させないよう、比率の上限を設けることがサイジングの出発点です。この記事は教育目的の説明であり、特定の銘柄や比率を推奨するものではありません。

ケリーの公式の原理

ケリーの公式は、繰り返されるベットにおいて資産の長期成長率を最大化するベット比率を計算します。基本形は f = p - q/b と書かれます。ここで p は勝つ確率、q は負ける確率 (1-p)、b は勝った場合の損益比 (失う金額に対する得る金額の倍率) です。f は今回のベットに投入する資産の比率を意味します。

例えば、勝つ確率 p が 0.6、負ける確率 q が 0.4 であり、勝てば1を賭けて1を得る損益比 b が 1 だとしましょう。f = 0.6 - 0.4/1 = 0.2 となるため、資産の20%をベットすることが長期成長率を最大化します。もし損益比 b が 2 に改善すれば、f = 0.6 - 0.4/2 = 0.4 となり、同じ勝率でもより大きな比率が正当化されます。

公式が負の値を出す場合、期待値がマイナスであることを意味するため、ベットすべきではないというシグナルです。つまり、ケリーの公式は「いくら賭けるべきか」だけでなく、「賭けるべきではない時」までも教えてくれるツールなのです。

結果をどう解釈するか

ケリーの公式が示す f は理論的な上限に近い値です。この値の通りにベットすれば長期成長率は最大になりますが、その過程で口座が半分近く変動する大きなボラティリティを許容しなければなりません。そのため、実務では計算値の半分や4分の1だけを用いる「ハーフケリー」、「クォーターケリー」が広く使われています。

ハーフケリーは、成長率をフルケリーの約75%まで維持しつつ、ボラティリティを半分に抑えるため、リスク対効率がより優れている点で好まれます。前の例でフルケリーが20%だった場合、ハーフケリーは10%です。この保守的な適用は、入力値(勝率と損益比)の推定誤差を吸収するセーフティネットの役割も果たします。

株式投資への適用

株式投資はコイン投げとは異なり、勝率 p と損益比 b を正確に知ることはできません。そのため、自身の過去の売買記録から勝った取引の割合と平均利益/平均損失の比を推定して代入する方法で近似します。例えば、損切りを-10%、目標を+20%と設定すれば損益比 b は 2 となり、過去の的中率が50%であれば f = 0.5 - 0.5/2 = 0.25 が導き出されます。

ただし、推定勝率はサンプルが少ないほど不正確になるため、実際にはこれよりもはるかに保守的な比率を用いる方が安全です。多くの個人投資家は、1銘柄あたりの資産の5〜10%を上限としていますが、これは1銘柄が半値になったとしても、全体の損失が2.5〜5%に留まり、回復可能な範囲に収まるためです。損切り価格を先に決めた上で、「1回の取引で失う金額を口座の1〜2%に制限する」という逆算方式とケリーの公式を併用することで、サイジングは一層強固になります。

落とし穴と限界

ケリーの公式の最大の危険は、入力値の過大評価です。自身の勝率を60%と信じていたが実際は50%だった場合、公式は適正比率を過大に算出し、過剰なベットにつながります。ボラティリティの高い市場での過剰なベットは、複利の魔法ではなく複利の呪いとして作用します。

また、ケリーの公式は、ベットが互いに独立しており、無限に繰り返されるという仮定に基づいています。しかし、複数の銘柄を同時に保有すると、同じ業種やマクロ経済的なショックに共に晒され相関関係が生じ、個別の比率を単純に合算すると実際のリスクが過小評価されます。韓国市場であろうと米国市場であろうと、市場全体が急落する際には、銘柄間の相関係数は1に近づきます。

さらに、ケリーの公式は算術的な期待値のみを扱い、生活費や心理的な限界といった個人的な事情は反映しません。数学が20%を示しても、その変動に耐えられず底値で売ってしまう人にとっては、10%の方がより良い答えとなります。

チェックポイント

まとめると、ポジションサイジングは「どれだけ投入するか」がパフォーマンスを決定するという認識から出発します。ケリーの公式 f = p - q/b は勝率と損益比から理論的なベット比率を示しますが、入力値の誤差とボラティリティのため、ハーフケリーのような保守的な適用が現実的です。

実践では、1銘柄あたりの比率上限、1取引あたりの損失限度、銘柄間の相関関係の3つを合わせて確認してください。この記事のすべての数値は原理を説明するための架空の例であり、実際の投資判断と比率は、それぞれのリスク許容度と資金状況に合わせてご自身で決定する必要があります。

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⚠️ 本コンテンツは投資教育を目的とした一般情報であり、Margin Callによる投資勧誘ではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。